地域創生学群広報実習

2017年11月14日
高大連携 八幡中央高校 やる気ぐんぐんプロジェクト

―やる気ぐんぐんプロジェクトを中心とした高大連携活動―

 

広報実習 本間 美帆(代表)、指導教員 佐藤 貴之

 

1.地域が抱えている課題、活動の目的

地域創生学群広報実習が着目した地域の課題は、「地域をよりよくするために動く若者が少ない」ことである。本稿では若者の中でも高校生に焦点を当てた高大連携活動「やる気ぐんぐんプロジェクト」について述べる。私たちが北九州市内のA高校2年生214名を対象としたアンケートの中で「今の自分に点数をつけるとしたら何点か?」という質問をした。その結果、214人中約7割もの生徒が50点以下の点数を書いていた。その理由として、「頑張れていないから」、「何もできていないから」など、自分に自信が持てず消極的になってしまう高校生が多い傾向が明らかになった。「自分に自信を持ち積極的に行動してもらうこと」が地域課題の解決に繋がると考え、これを本プロジェクトの目的とした。

 

2.活動概要

本プロジェクトは、北九州市内にあるA高校に大学生が訪問し、高校2年生6クラスを対象に1回につき100分の授業を合計3回実施するものである。今年度は、8月16日、9月12日、9月24日の3日間行った。1日目は「相手と自分を知る」という目的で、自分の幼少期から20歳までの人生グラフを書き、同じ班の生徒に人生グラフを発表して感想や意見をもらう内容にした。自分の人生を振り返ることで改めて自分自身を見つめ直すことができ、他の生徒の意見により今まで気づかなかった新たな自分を発見できると考えたからである。2日目は過去ではなく未来を考えてもらうよう「リアル人生ゲーム」を用いた授業を展開した。一般的な人生ゲームと異なり、自分の価値観をもとに進むマスを選択するルールとしている。そのため、自分が思い描くゴールにならない生徒も多かった。2日目は、大切にしたい価値観は何か、価値観は人それぞれであり、違って当たり前であることを生徒に意識してもらうことを目指した。3日目は「自分に自信を持ち積極的に行動する」を目的とし、クラスの特性に合わせた内容とした。活動中の写真を図1に示す。

                                  

図1 今年度の活動の様子

3.活動過程での困難に対する取り組みと活動から得た学び

本プロジェクトの過程で最も困難だったことは「全てのクラスで満足してもらうプログラム作成」である。A高校の2年生は、文系、理系など生徒が希望する分野ごとにクラスが分かれており、生徒の男女比に差があったため、クラス内の雰囲気だけではなく、生徒の行動、興味関心にも大きな差が見られた。1日目と2日目の内容で十分満足しているクラスもあったが、そうでもないクラスもあり、同じプログラムでも学びの質にばらつきがあった。また、クラスによって生徒のグループワークへの反応が全く違うことに気付いた。

2日間の反省を踏まえ、3日目はクラスに合わせたプログラムを各自構成することにした。具体的には、最初の2日間は全体を統括するメンバーでプログラムを作成していたが、3日目のプログラムはクラスに入って高校生に授業を行う大学生にプログラム作成を任せることにした。2日間そのクラスに入り、直接高校生と接しているため、全体的に見ていた統括メンバーより何倍もそのクラスの雰囲気、興味関心を捉えることができていると考えたからである。3日目が終わった後の振り返りでは、「クラスの特徴を踏まえてプログラムを作成したから、そのクラスのことだけを意識しながら進めることができた」と話す大学生が多く、各クラスに合ったプログラムと進め方でクラスの良さを引き出すことができていた。このように授業の質が向上した背景には、各クラス担当に授業を任せたことで、授業を担当する学生に当事者意識をより強く持たせ、授業の最終目標は全員で共有しながら、クラスのための授業を必死で考えることができたことが大きいと考えている。

 

4.活動成果の地域への反映

この活動成果が地域へ反映できる点として2つ挙げられる。1つ目は大学生が持つアクティブ・ラーニングを運営できるファシリテーションのスキルである。文部科学省が提示するように、アクティブ・ラーニングの重要性が高まっていることは事実であり、社会の大きな流れである。しかし、高校の授業でファシリテーションを意識したアクティブ・ラーニングはあまり実施されていない。大学受験を乗り越えることが重要であるという価値観が大きいことや、授業研究、部活動、管理運営など、割かれる時間が多く、教員がファシリテーションのスキルを身に付ける時間を確保することなど、高校側の対応は容易でない。そのため、私たちが先生方に代わりファシリテーションし、アクティブ・ラーニングを実施することによって地域教育の現場を強力に支援することができると考えている。

2つ目は高校生と大学生の「斜めの関係性」の活用である。本プロジェクトでは、1日目は初めて関わる大学生に高校生はなかなか心を開いてくれなかったが、2日目には高校生も既に慣れており本音を話してくれるようになっていた。そして、3日目は大学生が違和感なく教室に入り、授業を実施できている。これはあまり年が離れていない大学生だからこそできる活動であると考えている。普段、担任をはじめ、高校教員に話すことができない内容でも、大学生であれば兄や姉のような感覚で、お互い寄り添いながら真剣に物事を考えることができることが、広報実習が地域で活動する意義であると実感できた。

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